第67回NHK杯争奪トーナメント二回戦 対森内俊之九段

決勝戦での生放送は珍しくないが、予選のさなかで生放送。というのは前例がない。
それだけ神武以来の天才を上回る逸材に注目が集まっていることのであろう。
その最年少を迎え撃つは勝浦修九段門下。十八世名人資格保持者でありながら普及活動のために今年3月末をもってフリークラスへの移行を表明した森内俊之九段。
解説担当は佐藤康光NHK杯選手権者と数々のメディア出演を果たしていながらも今年の王座挑戦者に名乗りを上げた中村太地六段の二名。展開予想は森内九段が藤井(聡)四段の攻めを受け止める展開になるので相矢倉が予想される。解説担当の両者は熱戦に期待している。
対局者の印象は先手の森内九段から見た藤井(聡)四段は自然ながらも完成度の高い将棋。一方の藤井(聡)四段は森内先生の将棋は重厚な将棋。と評している。
将棋は解説の予想通りの相矢倉に。5手目▲6六歩。ではなく、▲7七銀。が矢倉の意思表示。
先手は囲いの構築を急ぎ、後手は攻めの形を作る。昭和のような出だし。△6二飛。と回った手によって後手の右四間飛車が決定。加藤九段が時々用いている構え。
飛車先を受けない事を見て森内九段は歩交換を申し込み通った。
しばらくやり取りが続いた中先に持ち時間を使い切ったのは森内九段。骨格だけ作っての▲3五歩。とスピードアップを図る。自然に応じる藤井(聡)四段の応手を見る▲7九角。に持ち時間を使い切るまで考えた藤井(聡)四段の一着は△4四角。解説の佐藤康光NHK杯は△5四銀。を指摘していた矢先のこと。
それぞれ先手は▲3七銀。後手は△5四銀。と構える。それでもまだ森内九段は居玉のまま。
中村(太)六段に交代。森内九段は考慮時間3回使って▲4六銀。に△6五歩。と一気に戦いの火蓋が切り落とされる中盤戦の始まり。
△6五歩。を見て慎重な姿勢を崩さない森内九段。考慮時間5回目を使って両取り承知の▲5七角。を指す。
ここで初めて藤井(聡)四段が考慮時間を使って△3六歩。と伸ばす。森内九段は6回目の考慮時間を使って6筋の歩を取っておく。
誘いの隙。と見ながらも△8五桂。に▲8四角。と飛車取りに当てる強気な姿勢。両者譲らぬ一進一退の攻防。△7七桂成。と銀を剥がされたものの、▲同金寄。と考慮時間3回を残して着手。
飛車取りになってる藤井(聡)四段も勝負所。と見て2回目の考慮時間を使って△6一飛。と引く。
▲6二歩。も考えられたが、▲6六歩。とあくまで慎重な姿勢を崩さない。互いに手筋を駆使する。
手が広く難しい。と思われたが3回目の考慮時間を使って△8八歩。とこれもまた相矢倉ならではの手筋。そのお返し!と言わんばかりに森内九段も△2二歩。と放つ。
放置はまずい。と見て△同金。それを見て森内九段も手を戻す。しばらくは双方主張点のある戦いになった。
敵陣に噛みついたのは藤井(聡)四段の▲5七銀。気持ちが悪いように見えるが、▲7八金寄。と壁形を直す余裕を見せる。この手によって森内九段の考慮時間はあと1回に。
藤井(聡)四段も残っている考慮時間を使いながらの着手が目立つ。4回目の考慮時間を使って指したのは△3六歩。
▲4八銀△同銀不成。とあっさり清算。先手玉が飛車に近いことを見てなけなしの歩を8八に放り込む。
先手も受け一方が不満と見ての▲2四歩。でいよいよ終盤戦に入る。
▲3四桂。が見えているだけに後手万事休す!かと思われたさなかの△5五角。が解説陣も驚いた一着。
▲2四同飛。から浮き飛車を巡っての攻防が続く。藤井(聡)四段も残っている考慮時間すべてを使い切って△1九角成。と腹をくくって攻め合う。
香を取った手を生かした△3三香。が先手玉の逃げ道を狭めつつ飛車当てに働いている攻防手。着々と△2九馬~△4七馬。と追い詰めていく。
玉の早逃げから馬を弾く▲5八銀。と抵抗するも、あっさり刺し違え銀の重ね打ちから中盤戦の終わりに放たれた8八の歩が生きる展開になって藤井(聡)四段勝勢。
それでも勝負手を放つ森内九段。と金に当てる▲7九金。が度肝を抜いた一着。しかし藤井(聡)四段は冷静に△8五桂。と△7七桂不成。以下の詰めろを仕掛ける。
この手が決め手となって▲6一馬。の形作りに満を持しての94手目△7七桂不成。を見て森内九段投了。
終局直後の口頭でのやり取りは二度目の△8八歩。を巡るものから始まった。
解説担当の佐藤康光NHK杯は見事。中村太地六段は堂々とした指し回し。と評して解説陣と対局者を交えた感想戦に。
初手から並べ直され、相矢倉は互いに想定済み。右四間飛車にした局面では先手の手が広い。▲3五歩。に代えて▲7九角。なら△5四銀。が予定だった藤井(聡)四段。しかし4六にまで角を引かれてしまうと後手の腰掛け銀が負担になっている。という。
▲7九角。の変化で調べられたのは△6五歩。からの仕掛け。これに対しても藤井(聡)四段は不満そうに冴えない。という感想を述べている。
本譜▲3五歩△同歩▲7九角。に単に△5四銀。と腰掛ける手には▲3五角△6五歩。と▲7九角△4四角。の本譜より難しい形勢に。
▲4六銀△6五歩▲5七角。が本譜だが、代えて▲6五同歩。には△3六歩▲6四歩△同飛▲6六歩△8五桂▲5七角。と逆用を目論んでいた考えを明かす藤井(聡)四段。
本譜▲桂△銀。交換に▲同桂。と取り返す手も検討されて有力であった。ところが森内九段は△6六歩。からの△3七銀。の放り込みが厳しい。と見て断念し本譜を選んだ旨を述べてる。
▲2二歩。の反撃も検討され△同金。を選んだ理由は上部の攻めに強いことを明かす。玉や角で取る手は後手が思わしくない。
本譜の△5五角。が厳しく後手が優位に立っている。感想戦で検討されたのはこの局面まで。
対局者に一局を振り返った感想は勝った藤井(聡)四段は攻める方針が功を奏した。敗れてしまった森内九段は玉飛接近形の悪形に困った。と締めくくり放送が終了。
十八世名人資格保持者の強豪を下した藤井(聡)四段は三回戦で第75期名人戦挑戦者となった関西若手強豪の稲葉陽八段と対局する。

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